Hiroshima Midorii Artificial Joint Center
広島緑井人工関節センター
別館
専門医に聞く 膝の痛みに「人工関節」という選択肢を
膝関節の軟骨がすり減って痛みや炎症を引き起こす「変形性膝関節症」は、高齢者を悩ませる疾患の一つです。今回はフリーパーソナリティーとして活躍中の八木静佳さんを聞き手に迎え、専門医であるサカ緑井病院(広島市安佐南区)の曽田是則統括院長と中村光宏整形外科部長に、治療法として有効な「人工膝関節置換術」についてお話しいただきました。
※本記事は、中国新聞広告の対談をWEB向けに転用・編集したものです。(掲載日:2025年6月29日)
- サカ緑井病院 統括院長
曽田 是則 さん(写真左)
そだ・よしのり 1965年生まれ、広島市佐伯区出身。90年広島大医学部を卒業後、同大整形外科に入局。広島鉄道病院科長、広島市民病院主任部長を経て、2023年4月から現職。日本専門医機構認定整形外科専門医。
- サカ緑井病院 統括院長
中村 光宏 さん(写真中)
そだ・よしのり 1965年生まれ、広島市佐伯区出身。90年広島大医学部を卒業後、同大整形外科に入局。広島鉄道病院科長、広島市民病院主任部長を経て、2023年4月から現職。日本専門医機構認定整形外科専門医。
- フリーパーソナリティー
八木 静佳 さん(写真右)
やぎ・しずか RCCテレビ、広島テレビ、テレビ新広島などでレポーターとして活動後、2004年から広島ホームテレビでアナウンサーとして勤務。現在はフリーパーソナリティーとして、イベントMCやレポーターなどで活動中。
広島市民病院勤務時代に曽田さんとともに10年間、人工膝関節の治療を行ってきた中村さんが今年度より加わることになった、サカ緑井病院。知識や経験が豊富な2人を中心に、さらなる専門性と充実した医療サービスを提供する。
「歩きたい」人は前向きに検討を
八木さん:これまで別々の施設として運営していた二つの施設が今春統合され、新体制となった「サカ緑井病院」。本日は、整形外科と人工関節センターが密に連携し、より質の高い医療を提供する同院の専門医お二人に、高齢者を悩ませる膝関節痛を治療する手術についてお話をお伺いします。
手術と聞くと、症状がとても悪い人が選択する「最後のとりで」の治療法という印象を抱いてしまうのですが、近年では、早い段階から手術を選ぶ患者さんも増えているそうですね。
曽田さん:高齢者の膝関節の痛みの主な原因とされる変形性膝関節症にはさまざまな治療法がありますが、活動量を維持したい人やもっと歩きたい患者さんに有効な治療法として、膝関節の痛んだ部分を取り除き、金属やポリエチレンでできた人工関節に置き換える「人工膝関節置換術」という手術を行うことが増えています。手術後の痛みや可動域の改善、素材の高品質化などによって、人工膝関節置換術へのハードルは下がってきており、入院期間はリハビリも含めて2週間ほどで済みます。理学療法士と一緒に人工膝関節を良好に機能させるためのリハビリをきちんとこなせば、つえを使わなくてもよい状態で退院できます。痛みもなくなり、旅行やゴルフなどを楽しめるようになって生活の幅が拡がるでしょう。
八木さん:では膝関節痛にお悩みの人は早めに手術を検討されてもよいかもしれませんね。
曽田さん:ただし、手術以外の選択肢もありますし、手術を受けたすべての人に同じ効果が期待できるものではありませんので、手術を受けるかどうかは最終的に患者さんご自身に判断していただきます。迷われている場合に無理に手術を勧めることはありませんが、筋力低下が進行していると、活動性が落ちて寝たきりになる恐れがあるので早めの手術を勧めています。
中村さん:患者さんご自身が「歩きたい」という強い意志を持って、意欲的に術後の訓練を行うことで、関節の機能を回復させることは可能なので、ぜひ手術も前向きに捉えていただければと思います。
変形性膝関節症
膝関節は大腿骨(だいたいこつ)、脛骨(けいこつ)、膝蓋骨(しつがいこつ)から成り、その表面を覆う弾力のある軟骨、クッションの役割をする半月板などで構成される。加齢などにより軟骨と半月板が削れることで、骨の一部がとげのように尖ってしまう骨棘(こつきょく)という状態になり、その骨同士がぶつかり合うようになって痛みを感じる症状を変形性膝関節症という。
早い段階の治療で回復力も高く
活動的な生活に
八木さん:人工関節の手術を受けるべきタイミングを教えてください。
曽田さん:過去には歩けなくなるまで症状が進行した段階で手術するという時代がありましたが、手術の方法が進歩した現在では、運動器全体が健康で、しっかり歩けるうちに人工膝関節置換術を受けるべきです。その方が回復力も高く、生活も快適になるでしょう。
八木さん:ところで、私の母は80歳代なのですが、膝の痛みがあり、娘としても心配です。ただ母の年齢を考えると手術を勧めることに自信が持てなくて…。
曽田さん:近年では、80歳代で人工膝関節置換術を受ける人も多く、手術を受ける平均年齢は70歳代半ばです。心身が元気な人は、年齢に関係なく生活を楽しむ意欲があり、筋肉も健康で活動的な生活を送っていらっしゃいます。
八木さん:とても心強いですね。高齢で手術を受けた患者さんは、回復後も元気な生活を送られている人が多いのですか。
中村さん:加齢による膝関節の衰えのため、つえを使う生活を送られていた患者さんが、人工膝関節置換術を受けて回復すると、自力で旅行に行くことができたという事例もあります。外に出たいという気力で心身が活性化されるのではないでしょうか。活動的な生活は筋肉にとっても有益ですし、元気な生活を送るために重要な要素だと考えています。
八木さん:人工関節の耐用年数はどのくらいですか。
曽田さん:過去の人工関節に対するイメージから、10〜15年くらいで新しい部品への交換が必要だと思っている人もいらっしゃいますが、人工関節が壊れるということはほとんどありません。ただし、病気などで運動量が減ることで筋力が衰え、それが原因で転倒して人工関節周辺を骨折することも考えられます。その場合、再手術が必要になる可能性もあるので、人工関節の耐用年数を気にするよりも、病気やけがをしない生活への心掛けが大切です。
八木さん:手術を受ける医療施設を選ぶとき、どのようなことを検討材料にしたらよいのでしょうか。
中村さん:手術実績の件数が多い施設は、ノウハウが蓄積され質の高い医療を提供できるほか、入院やリハビリを含めた周辺環境も充実していると考えられますので、病院選びの指標の一つとなり得るかと思います。
人工膝関節置換術
個々の骨形状に合わせたオーダーメード型手術
八木さん:人工膝関節の手術で推奨される方法などがあれば教えてください。
中村さん:新しいインプラント設置方法の「キネマティックアライメント法」が注目されており、当院でも施行しています。症状が発症する前の個々の患者さんの脚の形に近づけ、自然な膝関節機能を回復させることが期待できる手術で、膝の周囲の靭帯や筋肉などの組織を可能な限り温存し、本来の脚の形や膝関節面の傾きを再現します。多様性が進む現代社会にふさわしい手術ではないでしょうか。
八木さん:いわば患者さんそれぞれに合わせたオーダーメードのような手術というわけですね。
健康寿命延ばし生活の質を向上
曽田さん:最後にお伝えしておきたいのは、人工関節の手術について正しい知識を得るために、専門医に相談して治療方針を立てることが大切だということです。その治療の選択肢の一つが人工膝関節置換術だということを理解してください。
中村さん:年齢を理由に治療を諦めている人も、人工膝関節置換術という選択肢を選ぶことで健康寿命を延ばし、生活の質(QOL)の向上が期待できます。そして笑顔で生活が送れるようになることで、周囲のご家族も笑顔になれるというメリットも知っていただきたいと思います。
八木さん:私もお伺いした内容を母に伝え、一緒に考えようと思います。本日はありがとうございました。
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TEL. 082-879-0099 (代表)
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